アルベール・カミュの戯曲、「カリギュラ」を読みました~。11月、12月と東京、大阪で行われる蜷川幸雄さん演出に、小栗旬主演の「カリギュラ」は、このカミュの戯曲の岩切正一郎さん訳のものが、原作となります。 ですが、私が地元の図書館で借りてきた、新潮世界文学49 「カミュⅡ」にあるカリギュラは、渡辺守章さん訳(1969年発行の本ですぜ!まだ生まれてないし・・・)によるものなので、せりふなど、違っているところもあるかと思いますが、とりあえず、カリギュラのあらすじ、読んだ感想などなど、つらつらと書いてみます。 ちなみに、私、哲学倫理、思想などが、とっても苦手なんですぅ~!一応、文学部出身なのですが、今回の記事も、大学のレポート提出を思い出しました。小難しい本を読んで、内容を自分の中で消化して、文章にする・・・難しいですね。改めて。 けれどまあ、これで成績がつくわけでもなく、あくまで旬くんの舞台を、より良い状態で理解し、観劇するために、読んだ本なので、厳しい突っ込みはなるべくご遠慮くださいませ<(_ _)> 歴史上の人物の詳しい情報が知りたければ、ウィキペディアで。まじで読んでいると、学生時代を思い出します。そして、自分の脳の劣化を感じます(笑) カリギュラ http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%AB%E3%83%AA%E3%82%AE%E3%83%A5%E3%83%A9 ローマ皇帝 http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%AD%E3%83%BC%E3%83%9E%E7%9A%87%E5%B8%9D%E4%B8%80%E8%A6%A7 ☆主な登場人物 ・カリギュラ (小栗旬) 本名は「ガイウス・カエサル・ゲルマニクス」 幼少時の愛称「カリグラ(カリギュラ)」が良く知られているが、「ガイウス帝」や「カイユス」とも呼ばれている。私の読んだ渡辺さん訳では「カイユス」と訳されてます。 2代目皇帝、「ティベリウス」の長く腐敗した政治にうんざりしていたローマ市民は、24歳で即位したこの「カリギュラ」を、熱狂的に支持、迎え入れたそうです。 ティベリウスの緊縮財政政策を廃し、減税、剣闘士試合の復活など、市民におもねる施策を次々と行った結果、やがて財政破綻を招き、これにより急速な人心の離反を招いたらしいです。その後、軍部でのクーデターにより、殺害され、統治期間は3年間でした。 現在ではカリグラは精神異常であったと考えられており、自らや妹を神格化させるなどその統治は狂気じみたもので、数々の残虐な行為を行ったことも有名となっています。 が、最近の研究によると、カミュもこの戯曲の典拠としている、スエトニウスの「十二皇帝伝」は、かなり彼自身や、読み手である大衆のために脚色されたもので、必ずしも史実とは一致しないエピソードなども多数であるので、実際のところはわからない、というのが本当らしいです。 カミュも「カリギュラの「気まぐれ」以外は,何も史実とは関係ない。彼の言葉は史実であっても、その説明は違う」と手稿でのべており、そういう意味では、カミュの「カリギュラ」は史実とはまた違う文学作品のようです。 皇帝になった経緯は上記のウィキペディアで読んでもらえばいいのですが、とにかく、血筋としては非常にいい人物です。彼の妹の「小アグリッピナ」は、5代皇帝ネロの母親であり、4代皇帝クラウディウスはカリギュラの叔父です。そして、叔父と姪という関係にも関わらず、「小アグリッピナ」は、後にクラディウスと再婚していて、その関係で5代皇帝はネロになったのです。ちなみにネロはクラディウスの実子ではありません。 そして、「小アグリッピナ」ではなく、「ドリュジラ」という妹がカリギュラにはいるのですが、この「ドリュジラ」が妹であると同時に、カリギュラの愛人でありまして、彼はとても愛していたとされていますが、ドリュジラは若くして熱病で亡くなってしまいます。戯曲も、「ドリュジラ」が死んでしまったことが、それまで良い皇帝であったカリギュラが、狂気と不条理の世界に傾倒していくきっかけになったとしています。 ああ~ローマ時代の家族関係って、倒錯してる~! カミュの手稿の人物評によると、 「カリギュラは25~30歳。大層若々しい人物である。彼は普通に考えられているよりは酷くない。背が高く、痩せており、やや猫背で顔は子供っぽい」←旬くんそのもの(;´Д`)♪ ちなみに、初演の舞台では、当時は無名だった青年俳優、「ジェラール・フィリップ」がカリギュラを演じて、彗星のようなデビューを果たしたとか。 ・セゾニア (若村真由美) カミュの手稿によると「30歳」ということになっていますが、もともとは若きカリギュラの愛人でした。戯曲のなかでは、カリギュラより年上で、愛人でもあるのですが、よき理解者であり、姉のような、母のような愛情で彼を見つめているのが感じられます。カリギュラの言うがままに、非情な行為をしたりもしているのですが、戯曲全体を通して読んでいると、彼女はとても良識的で、愛情深い魅力的な女性のように感じられます。 読んだ感じだと、カリギュラより5歳ぐらいは上の感じかな~。彼女自身せりふの中で 「あたしは年をとったわ、もう少しでふた目と見れなくなる、知っています。でも、あなたのことを心配するあまり、あたしはこんなに心の寛い女になってしまった、もう今ではあなたに愛していただけなくても、そんなことは問題にならないほどなのだわ。 ただあたしの願いは、あなたにその病気から癒っていただきたいこと、あなたはまだ子供なのだもの。あなたの人生はまだこれから!人生がそっくりそこにある、それ以上にどんな素晴らしいものがあると、おっしゃるの?」 と言っていますが、まさに、年上の彼女って感じですよね(笑)30歳で、 「もうすぐふた目と見られなくなる」 と言われてしまうと、当時の死亡年齢にもよるのでしょうが、もうすぐ32歳の私はどうする?って感じですが(笑) ・エリコン (横田さん? 月川くん?) カリギュラ腹心の部下であり、忠実な友。もとは奴隷の身分だったのが、カリギュラのお気に入りになったおかげで、他の貴族とも同様の身分にまで上り詰めた。 カミュの手稿によると「30歳」とされている。 カミュ自身が、1958年にこの戯曲にかなりの改訂をほどこしたが、そのほとんどの部分が、このエリコンの台詞や役割についての改訂。 エリコンは、終始カリギュラの理解者、同情者という立場で、カリギュラという破壊に突進した人物の、うちに燃えたぎっている真実の熱情を浮き彫りにし、カリギュラの苦悩、それが同情に値する人物であって、単なる狂気じみた怪物でないことを、観客に理解させる役割をになっている。 また、奴隷出身ということもあり、貧しい人々、抑圧された人々の側に立つ人間として、貴族たちブルジョワジーに対する、カミュの社会的批判を体現している役でもある。 貴族たちの偽善を攻撃する激しい演説や、最後にカリギュラの暗殺から彼を守ろうとして、カリギュラに呼び叫ぶのもエリコン。 基本的に、彼が心を許す数少ない友人、という感じです。カリギュラが狂気のように追い求める、「不可能なもの=月」というくだりがあるのですが、その月を探して持ってきてくれ・・と何度も頼まれてます。どーすりゃいいんだよ~、って困ってる様子もけっこう伝わってきます。。。 →続く
by pukapuyajiri
| 2007-08-14 14:50
| カリギュラ
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