第二幕のみどころはカリギュラが暴君として、数々の非道な政治を行ないつつも、詩人シピオンと心を通わせる場面につきると思います。勝地くんと旬くんと、稽古場でも素晴らしい演技を披露したとか・・・想像がふくらみます( ̄▽ ̄)V
★★★★ 第二幕 ~暴君とケレア、シピオンそれぞれの思い~ ★★★★ 貴族たちがケレアの屋敷に集まっている。彼らの口から出てくるのは、カリギュラが3年もの間、貴族たちの財産を没収したり、妻をさらって売春宿で働かせたり、父や息子を処刑したりしたことへの、怒りと怨嗟(えんさ)の言葉ばかり。かつてカリギュラを敬愛していたシピオンも、父を目の前で殺されたことで、カリギュラへの憎しみがつのっている。混乱と化した場で、興奮した貴族たちは武器を手に取り、屋敷を出て行こうとするが、そこに屋敷の主、ケレアが帰ってくる。 ケレアは武器をてにとる貴族たちをやんわりと押しとどめ、今はクーデターを起こすには時期尚早だとみなを落ち着かせようとする。ケレアの長いせりふが続くが、抜粋するとこのような感じ 「つまり、私はあんたがたの仲間ではあっても、あんた方の考えに賛同しているわけではないのだ。だから、きっと私にはあんた方のやり方が上策と思えないのだな。敵の正体というものを見抜いちゃいないで、ただ些細な動機ばかりあげつらっている。敵のほうはだ、動機としては重大なものしかありゃしない、だからあんた方は破滅の淵に飛び込むだけさ。 まずとにかく、あの人のありのままの姿を見定めなきゃならん、そうすればあの人との闘いも、ずっとうまくいくはずだ」 ケレアは、他の貴族のように、自分の家族が殺されたことや、貴族としてのプライドを傷つけられるような命令を下されたりすることが我慢ならないのではなく、そんなことより、カリギュラがこのような暴挙に出ている「理由」が問題なのだと、みなに伝えるのである。 彼はわれわれ貴族を殺したいだけだろうと答える貴族にケレアはこう答える。 「あの人は自分の権力というものを、もっと高い、もっと恐ろしい情熱のために用いようとしている。あの人はわれわれの心のうちのもっとも深い部分をおびやかしているのだ。 この帝国で、一人の男が際限の無い権力を所有したのはこれが初めてではあるまい、だがその男がおのれの権力を際限もなく行使したことは、いや人間と世界との否定にいたるまでその権力を行使したことは、まさに試しの無いことなのだ。あの人が私を恐怖に陥れるのはまさにこの点だし、わたしが戦う相手もこのことだ。 命を失うのはたかの知れたこと、いざとなれば私にもその覚悟はある。だが、この生きてあることの意味が煙と消え、われわれの存在理由が消え去るのを見るのは、耐えがたいことだ。理由なしに生きることは出来ないからな」 そして、復讐に加担するのではなく、自分自身の論理との戦いでもあるし、みなで力をあせてカリギュラを打ち倒すことを宣言する。 「誤解のないよう言っておくが、それはあんた方の受けた些細な屈辱に荷担することではないのだ。それは一つの大きな思想に対する闘い、その思想が勝利を占めたときは、この世の終わりであるような思想に対する闘いなのだ。 私にはあんた方が愚弄されるぐらいのことは我慢できる、だが、カリギュラがしようと思いついたことを、しようと思いついたすべてのことをやりとおすのは認めることができない。 あの人は自分の哲学を無数の屍に変えてしまう、しかもわれわれにとて不幸なことには、それは反抗する余地の無い哲学なのだ。理屈で反対できないなら、剣で倒すより他に道は無い。」 そして、今すぐにカリギュラにたいして叛旗をひるがえすのではなく、もう少し様子をみることを貴族たちにすすめる。今はまだ時期尚早、もう少し計画を練るべきだし、カリギュラの論理が錯乱に代わるのを待ちたいのだと。 「だがもう一度言っておくが、いやそれにわたしが今しゃべっているのは、ごまかすのが嫌だからなのだが、わたしはね、いいかね、あんた方の仲間になっているといっても、それは一時的なことなのだ。やがて私は、あんたがたのいかなる利益のためにも働かなくなるだろう、わたしの願いはひたすら、新たに秩序を取り戻した世界の中で、平和を再び見出すことだからな。 私を行動に駆り立てるのは野心ではない。理屈にかなった恐怖だ、人間の心を失ったあの熱情に対する恐怖だ、その熱情のかたわらでは、この命は取るに足らぬものにされているのだからな。」 このケレアの演説に納得した貴族たちは矛をおさめることにする。 「カリギュラはあのままにしておこう。あの人がおしすすめる論理が錯乱に変わるのをまつのだ。いつかはやってくるのだ、死人たちと、死人の縁者たちに満ち溢れた帝国を前に、あの人がたった一人になる日が。」 すると、外にトランペットの音。沈黙。やがて、口から口へ「カリギュラだ」とささやく声が。 カリギュラとセゾニア登場。後に、エリコンと衛兵が従う。無言の場が続く。 カリギュラ、立ち止まり、叛徒たちを見つめる。彼は黙ったまま一人一人のそばへ行き、ある者の巻き毛をなおし、また他のものをしげしげと見つめるために後ろへさがり、もう一度彼らを見つめ、自分の目の上に手をやって、それから一言も言わずに退場 エリコンとセゾニアでケレアや貴族たちに、何をしていたか質問する。当然貴族たちは、ちょっとした格闘をしていただけで、クーデターなどを企んでいないと答えるが、エリコンは、みなのたくらみは皇帝もご存知だと告げる。そして知っているばかりか、クーデターが起きるのを望んでいるふしもあるのだと・・・・ 「あの方はご承知だよ。だが、私の想像では、あの方のほうでも、実はそうなることを少々望んでいらっしゃるようだな。もういい、ここを片付けてしまおう」 一同、立ち働く。カリギュラが登場し、その光景をじっと見守る。 カリギュラ貴族たちと食事を共にすることにする。食事の支度をさせる奴隷を財務長官が呼ぶと、カリギュラは奴隷でなく貴族たちが食事の支度をするように命じる。 「今はわが国の財政はひどいものであり、これまでの習慣では続けていけぬような状態。そこで使用人を削減することにした。召使の数をへらし、奴隷を解放し、身の回りの世話は諸君(貴族たち)にしもらうことに決定した」 元老議員たちは顔を見合わせ躊躇するが、エリコンに「この世の階級は登るよりも、降りるほうがずっとやさしい」ことを指摘され、元老議員たちはためらいつつも動き出す。 食事をしながら、カリギュラは、傍若無人なふるまいを続け、非道な処刑についての話に話題が及ぶ。騎士リュフィユスは理由もなく処刑されることがきまり、レピデュスは息子を処刑されたにもかかわらず、もう一人の息子を殺されたくないなら、笑えと命じられ、ミュシュスは妻を彼の肉欲の慰みにさしだすよう命じられる。 「見てくれ、やつらを。セゾニア。これで万事おしまいだぞ。礼儀も対面も、世間の目も、国民の知恵も、何もかももう全く無意味になってしまった。すべてが恐怖の前に消えうせていく。恐怖さ、セゾニア、混じり物のない、純粋で、公平無私なこのうるわしい感情、腹のそこから出てくる数少ない高貴な感情の一つだからな。 (片手を額にやり、酒を飲む。親しげな口調で)ここらで話題を変えよう。おいおい、ケレア、今日はずいぶん静かだな。」 ケレアは良からぬ企みをしていたんだろう?と問われても、冷静に対応する。ミュシュスの妻の左肩を舐めながらカリギュラは、国家の政策について指令を出す前にちょっと肉欲を満足させてくる、といって、ミュシュスの妻と共に退場。 カリギュラが部屋を離れている間に、セゾニア、エリコンはケレアたちに、本当のところはクーデターを企んでいたんでしょう?と問うが、ケレアは 「(冷静に) すべてのきっかけはね、親愛なセゾニア、詩というものは殺人的な力を持つべきか否かという議論だったのですよ」 とかわす。当然エリコンやセゾニアはそんなことは信じてはいないが、穏やかに話をまじえながら場面はすすみ、カリギュラは「剣」という名の大論文を考えている、つまり、なにか血生臭いことがそのうちに起きるかも・・・・とにおわせたあたりで、カリギュラ登場。 カリギュラは、国家の食料庫を封鎖し、人為的に飢饉を起こそうとしている考えを披露。また、死刑についても新たな政策を考えているとのこと。エリコンがその内容を読み上げる 立ち上がり、機械的に暗証するエリコン 「死刑執行は苦しみを除き、人間を解放する。その意図ならびに適用において、それは普遍的にして、かつ人間に勇気を与え、かつまた公平無比のものである。人は罪あるがゆえに死す。人はカリギュラの臣下たるゆえに罪あり。しかるに、すべての者はカリギュラの臣下なり。ゆえに、全てのものは有罪なり。かるがゆえに、全ての者は死ぬの道理。ことは、時間と忍耐の問題にすぎぬ」 さらに、国営の売春宿の経営について詮議したいから、と他の貴族たちを下がらせ、レピデュスなどと話し合うカリギュラ。ぜんそくの薬を飲もうとしているメレイアに目をつける。その薬はおれに毒殺されることを恐れて飲んでいる解毒剤だな!と詰め寄るが、メレイアはそれを否定。信じないカリギュラは、そんなに毒殺が怖いなら、この俺の毒薬を飲め!と、無理やり毒をメレイアに飲ませ、彼を死に追いやる。 セゾニアから、薬瓶は本当にぜんそくの薬だったことを告げられ、少し動揺するカリギュラ。しかし、メレイアをじっと見つめながら 「かまうものか。しょせんは同じことだ。少しばかり早いか、少しばかり遅いか・・・・・」とつぶやき、その場を去る この件で、クーデターを起こす時期を早める決意をするケレアとレピデュス。 セゾニアはシピオンに声をかける。カリギュラを憎んでいるんでしょう?と問うセゾニアに、シピオンは当然だと答える。そんなシピオンに革命的な言葉を与えたいというセゾニア。 以下、ふたりの会話。 セゾニア 「まあ、聞いてちょうだい。お前に言いたい言葉は、とても難しくて、しかもわかりきったことでもあるの。でもその言葉は、本当によく聴いてもらえたなら、この世で唯一の、決定的な革命を成し遂げるような言葉なの。」 シピオン 「じゃ、言いなよ」 セゾニア 「まだよ。初めに、お前のお父さんの,舌を抜かれたときのあの苦悶に満ちた顔を思い浮かべてごらん。思い出すのよ、あの血を吐く口を、責めさいなまれた獣のようなあの声を」 シピオン 「うん」 セゾニア 「今度はカリギュラのことを考えてごらん」 シピオン (全身の憎悪をこめて)「うん」 セゾニア 「さあ、いいわね。あの人を理解しようとしなさい。」 彼女は出て行く。呆然としているシピオンを残して。エリコン登場。 カリギュラが戻ってくる前に食事をしにいったらどうだ、と提案するエリコンにシピオンは「僕を助けてくれ!」と懇願する。 「あんたには僕を助けることができるはずだ。たくさんのことを知っているじゃないか」 エリコン 「私が知っているのは、日々は過ぎ去り、食事は急がねばならぬということさ。いやまだ知っている、お前さんがカリギュラを殺そうと思っていることも・・・・そしてあの人のほうでもそれを不愉快には思っていないということもな」 そこにカリギュラが登場する。エリコンはこの場を去る ★★★★ 第二幕のクライマックス、シピオンとカリギュラの対面シーンは、のちほど~
by pukapuyajiri
| 2007-11-05 17:48
| カリギュラ
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