チェーホフ 「 かもめ 」  観劇レポート

さる7月26日の土曜に、大阪のシアターBRAVAにて、藤原竜也くん主演の「かもめ」の舞台を見てきました。今となってはかなり昔のように思えてしまいますわ~

ぽっちりにとっては、3月に見たさいたま芸術劇場での、同じく藤原竜也くん主演の「身毒丸」以来の舞台です。

地方に住んでいるぽっちりにとって、舞台といっても、大阪、東京、さいたま、福岡、どこで公演されてもすべて「遠征」になってしまうのですが、今回は夏休みの帰省とひっかけたので、日帰り強行軍ってなことをせずにすみました♪

仲良しの旬友さんたちとお茶やランチをした後、感動のカリギュラ千秋楽をみたシアターBRAVAにGO!実は、ず~っとハイテンションでしゃべりまくりながら劇場入りしたので、いすに座ったらものの5分で上演ってなぐらい、緊張感なしに舞台を見始めてしまったぽっちりでした・・・


このブログを読んでいる旬友さんの多くは「かもめ」を観終えた方々だと思いますが、観てない方もいらっしゃるので、かる~く説明しておくと

〇あらすじ〇

舞台は、ロシアのとある田舎の湖のそばにある、コースチャの伯父のソーリンの邸宅。
そこには主役であるコースチャとともに、町から休暇でやってきたアルカージナ(邸宅の持ち主の妹で女優)、その恋人で小説家のトリゴーリン、邸宅の管理人のシャムラーエフ、その妻ポリーナ、娘のマーシャ、友人の医者、ドールン、マーシャのことが好きで付いて回っている貧乏教師のメドヴェジェーンコなどが常に集っている。

今で言うニート状態のコースチャだが、恋人ニーナを主役にすえた劇を、女優である母やその他の邸宅に集う友人たちのまえで上演することとなった。彼なりに頑張って書いたせりふ、演出のその劇は、あまり分かりやすいものではなく、女優である母たちも、途中で飽きだした様子をみせ、それに怒ったコースチャは劇を途中で中止させる。

落胆するコースチャを尻目に、恋人ニーナは売れっ子小説家トリゴーリンに心を奪われ、トリゴーリンもまた、この湖のそばの邸宅で滞在するうちに若いニーナと惹かれあうことになる。自分の芸術はみなに理解してもらえない、恋人も他の男に心を奪われている・・・と悲観したコースチャは自殺未遂事件を起こす。

トリゴーリンがいるから、コースチャが情緒不安定になったのだと判断した母アルカージナは、街に戻ることを決意。トリゴーリンは街に戻った後、ニーナと同棲することになる。ちなみにトリゴーリンはアルカージナとも関係を続けていたようで、結局ニーナと破局したのちは、元のさやに戻る。

2年後、またアルカージナやトリゴーリンが湖のそばの邸宅にもどってくる。コースチャは今では小説家。それなりの地位も名誉も手に入れている。が、いまだに気になるのは元の恋人ニーナのこと。ニーナはトリゴーリンに捨てられた後は、旅の一座の女優のようなことをしていた。そんな彼女もこの村にもどってきてコースチャと再会する。ぼろぼろになって、憔悴しきっているニーナは、自分は「かもめ」だということをさかんに口走る。彼女のいう「かもめ」とは、2年前に、コースチャが自分の腹立ちまぎれに、何の罪もないかもめを猟銃で撃ち殺したその「かもめ」なのか、はたまたその話を聞いたトリゴーリンが思いつき、口ずさみながらメモ帳に書き記していた短編小説の筋と自分をなぞらえているのか・・・・

「湖のそばに子供のころから住んでいる若い娘がいた。ちょうどあなたのようなね。カモメのように湖が好きで、カモメのように幸福で、自由だった。しかし、そこにたまたまやってきた男が、彼女と出会い、暇つぶしに、その娘をこのカモメのように破滅させてしまった・・・・」

↑チェーホフ 「かもめ」 第二幕の最後のあたりより引用

ぼろぼろになったニーナと復縁したい旨を伝えるコースチャだが彼女は拒否。彼女はもう自分の足で立ち、自分の将来をどう切り開くべきか・・・という考えがあったのだ。それに対してのコースチャは

「君は自分の道を見出したし、どこに向かって進むべきかを知っている。ところが僕ときたら、相変わらず、夢とイメージの混沌とする中で、それがだれに、何のために必要なのかもわからず、ただ走り回っている。僕には信念もないし、自分の使命が何なのかも分かっていないんだ!」

↑第4幕のニーナとの別れのあたりより引用

悲観したコースチャは自殺する。


★★ちなみに自殺に使用した銃が、かつて自分がカモメを撃ち殺した猟銃なのか、トリゴーリンに決闘を申し込んだときに使用しようとしたピストルなのかは、翻訳によって違うらしい・・・(このあたりを詳しく知りたければ、ぽっちりが入手して呼んでいた、堀江新二さん訳のチェーホフ「かもめ」のあとがきに詳しくのっています。★★

 
〇 主要キャスト 〇

★藤原竜也くん    コンスタンチン(コースチャ)  

舞台演出、小説家になりたいと思っている(?)青年。大女優の母(アルカージナ)を持ち、正確はどちらかというと暗い性格(笑) ニーナという恋人がいて、彼女のことは深く愛している

★麻実れいさん   アルカージナ

コースチャの母親。暗い息子とは正反対に、明るく奔放、自己中心的と典型的な(?)女王様体質。自分より若いトリゴーリンという恋人ともに、兄の邸宅へ休暇で遊びに来ている

★美波ちゃん   ニーナ

コースチャの恋人で女優志望の若い女の子。後にトリゴーリンのことが好きになり、田舎の村をでて、トリゴーリンを追って、街へ出て行ってしまう

★小島聖ちゃん   マーシャ

若く、それなりの地位と財産のある親をもち、容姿も悪くないのに、世の中に対して非常に悲観的で絶望している。それゆえに、常に喪服(黒い服)を身にまとっている。とにかく暗い(笑)
実はコースチャのことが好きだけど、思いがかなわないことにこれまた悲観して、まったく好きでもない、貧乏教師メドヴェジェーンコと結婚する

★鹿賀丈史さん  トリゴーリン

アルカージナ(女優)の恋人の売れっ子小説家。この登場人物の中では比較的明るい(?)キャラクター。ニーナのことを見初めて、一時は同棲し子供まで作ったが、結局アルカージナと元さやに戻る。


ではではぽっちりの「かもめ」をみた感想をば。


                    ★★★★★★★★★★★


まず、原作は 「かもめ 四幕の喜劇 」  とあるんですね。でも、どうあらすじを読んでも、これが喜劇だとは到底思えない。ぶっちゃけ、主人公のコースチャは自殺しますし。これはネタバレでもなんでもなく有名なこと。ロミオとジュリエットのふたりが最後にふたりとも死ぬのが常識なのと同じぐらい、あらすじでコースチャは自殺する、って出るぐらい。

主人公が自殺する話なのに、なぜ「喜劇」なのか? まずこのあたりが、実際に生で舞台でみて、どう感じるか興味をもちながら観始めました。ちなみに原作はざっと目を通してましたが、そのときの感想は「特に面白くもなく、感動もない、淡々とした話やのお」といったところ。


喪服をきたマーシャ(小島聖)とマーシャを慕う教師メドヴェジェーンコが話し始めるシーンから始まりましたが、聖ちゃんの顔が小さい!まずそれが気になった(笑) やっぱ女優さんはスタイルええのお。よく通る声をしていて、どすのきいたような、暗い暗い、人生に絶望している若い女の役を好演していたように思います。メドヴェジェーンコのさえない様子もこれまた良し(笑) そりゃあ彼より、竜也くん演じるコースチャのほうが、性格は暗いけどかっこええやろ~

コースチャが演出する劇が始まるシーンが近づいて、次々と登場人物が現れるけど、やっぱ麻実れいさんは存在感ありますね~。 ぽっちりは生の麻実さんは始めて見たんだけど、コミカルで女王様キャラのアルカージナ、息子のことが最後まで理解できない母親、というのを魅力的に演じられていました。

コースチャの演出する劇がこれまた、確かに理解するには難しそうな劇で(笑) 正直、ぽっちりもあの舞台の中の観客と同様、ニーナ(美波)演じるあの朗読劇が目の前で繰り広げられたら、あくびをするか、「つまんねえな~」と思いながら眺めるかどちらかでしょうね。

で、実際にかもめのストーリーの中でも、わけのわからぬ劇の演出に飽きたアルカジーナたちの反応に怒り狂ったコースチャが舞台を途中で中断させるわけですが・・・

ニーナを演じる美波ちゃんもこれまた初めて観たのですが、なんともいえぬソプラノの・・・そう、ミュージカル俳優のような発声の女優さんだな、って思いました。歌もうまいのでは?

ある意味、そのカン高い声が舞台での彼女の演技にちょっとした違和感を覚えさせなくもないのですが、トリゴーリンを魅了し、またコースチャを最後まで虜にした、ニーナの若々しい美しさを体現させるには良い配役だったのでは?と思います。実際トリゴーリンとのシーンのときの初々しい白いワンピースの美波ちゃんは、「お~可愛いな~♪」って純粋に思ったし。

トリゴーリンは、個人的にはもっと若くても・・・・ぶっちゃけ旬くんぐらい若くてかっこよくてもハマッたと思うのですが・・・鹿賀さんぐらいの年の人をもってこなくてもええんちゃうの?とか思っちゃいました。子供作るんかい、その年で(笑)と若干思いつつ。。。。

さすがのぽっちりも彼のことは知ってるし、有名な俳優さんだし演技力もそりゃあ確かなのですが、この舞台において、彼がものすごく印象に残った・・・というほどではなかったです。トリゴーリンという役自体も、わりと出番少ないしね。

で、ある意味この劇の最大の演出の見せ場?であろう、この暗いキャラが多い、自殺するストーリーなのに、「喜劇」ってのがどのあたりだったのか?ですが・・・・


あ~、けっこう面白かったです。なんというか、「ははは~!!!」って笑う場面はどこにもないけど、ニヤリニヤリ、くすりと笑える場面はいくつもありました。

ぽっちり的にも、そして多くの人にとっても普通に笑えテ面白いシーンといえば、たぶん、アルカジーナとコースチャがお互いをののしりながらも、母と息子らしくほほえましくケンカをするシーンでしょう。

マザコンまるだしのコースチャを演じる竜也くんが本当に子供っぽくて可愛らしくて笑えるし、アルカージナも、普段は女王様キャラなのに、ときどき妙にコミカルに息子のことを気にかけて可愛がるシーンが笑いを誘いました。


でもね、たぶん一番作者がこれは「喜劇」だ!と言い切りたいのはこのあたりか???と思えたのは、劇全体をとおして一貫して流れる

「み~んな自分のことばかり考えて、全てがすれちがってるぅ~!話が通じ合ってないしぃ~」 

という空気でしょうか。まさに乾いた笑いを呼び起こすというか。

コースチャのことを本当は愛しているんです、誰にも言ってないけど・・・とマーシャに伝えられても、だからといって何もしない医師ドールン。マーシャの母であるポリーナにひそかな恋を打ち明けられても、これまたかる~くいなしてとりあわず。

あこがれの女優、アルカージナに一生懸命話をするけれども、ぜんぜんかまってもらえていない、マーシャの父シャムラーエフ

マーシャのことをひたすら愛してるのに、まったく愛をかわしてもらえず、結婚はしたはずが、その妻の両親にも大事にされず、さりとて大してそれを気にも留めず、ひたすら自分の興味のある「金」や「子供」のことしか話さないメドヴェジェーンコ

妹のアルカ^-ジナや、甥っ子のコースチャに愛情を注いでいるのに、そのわりには街でくらすための金を妹は出さないし、車椅子にのってからは、どうも放置され気味な、邸宅の持ち主ソールン

こういった脇役陣のせりふは聞けば聞くほど、かみ合ってないし、原作を読めば読むほど、大した会話をなしてない(笑)

 このベクトルが互い違いの方向に向いたままで、話が進んでいくのが、確かにこの劇を単なる主人公が自殺して、どうにもこうにも暗いキャラクターの多い悲劇的な話、ではなく、コミカルな雰囲気を醸し出しているのだろうなあと。 でも、別に見終わった後、「あ~面白かった!」なんて感想、絶対出てこないけど(笑)

で、このベクトルが互い違いのまま話が進んでいくという現実に、敏感に反応しているのが暗いキャラの双頭のマーシャとコースチャ。マーシャは結局悲観したままだし、コースチャは自殺する。さもありなんと思えましたわ。

コースチャが小説がうまく書けずに悩んでいる横で、このうまくかみ合わない会話をしつつも、それなりに人生をうまくわたっていっているアルカージナや邸宅に集う人間たちは楽しくゲームをしている。楽しくゲームをやっている人間からしたら、ささいなことで悩み苦しむコースチャはむしろ「アホ」ってな感じで、人生いろいろつらいこともあるけど、それらを適当に飲み込んで、なんとかやっていくしかないんだ・・・といった風情。

でも、コースチャからしたら、あの人たちとは永遠に心が通じ合うことはないのでは?と思うほどの違和感を感じているはず。実際、ベクトルが互い違いのままでも、人は人と会話できるし、時間はすぎていくものだし。

でも、それが彼には耐えられなかった。ニーナとも結局通じ合えなかった。彼女は自分の道をいく。母も自分のことを理解できない世界の住人だ。ほかの人間もしかり。そして、たぶん一番彼と同じ魂、感受性をもつはずのマーシャのことはコースチャの頭にはない。マーシャとコースチャのベクトルもまた、通じ合うことはないのだ。

で、彼は人生に、自分のいる世界に見切りをつけて自殺したと。


「カモメ」は舞台の中で象徴的に使われてますね。ニーナとトリゴーリンの関係はたしかに、「ちょっとした気まぐれで撃ち落されたカモメ」であると思うけど。


とまあ、1回しか見てない舞台なんで、これぐらいのことしか書けませんが、とりあえず、思ったよりも「喜劇」という面がうまく出ていたな~って思いました。乾いた笑いが私の口からもれましたからね。んでもって、「あ~こりゃあ、自殺したくもなるよね」ってコースチャの気持ちがわかった。それだけでも、演出の人からしたら、成功したと言えるのでは?


ちなみに、何回かみていた旬友さんいわく、私がみたときの舞台は

「テンポがよくて、俳優さんみんなのかけあいも面白くて、前より良かった」

らしいので、けっこういい仕上がりの時に見れたのかな?

ってなわけで、かもめの観劇レポートでした~レポートというか、駄文、長文の羅列でまいどすんませ~ん。

さあさあ、ANNですね・・・・2時以降まで意識保てるかな~
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by pukapuyajiri | 2008-08-07 00:52 | ドラマ・映画・舞台
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